ずっといっしょにいられるのはほんとうに、ほんとうに嬉しいことだけど ―― この思いを伝えられないのは、ほんとうに、苦しいの。 ねぇ、もしかしたらあなたも同じ気持ちなのかな。あなたも、こんなふうにわたしのこと見てくれているのかな。 「−、なにぼんやりしてるんだい」 「・・・ガイ。そう言うあなたこそ何してるの?」 「俺?俺は今からル−クのところに行くつもりだけど」 「そっか・・・」 何処となく上の空で返事をしてくるを不思議に思ったガイは、どうしたのかと聞き返そうとした ―― その時だった。 「ガイ!おまえ何してんだよ−?」 「・・・ル−ク」 「あら、ル−クさま。お部屋におられたのではないですか?」 「ガイのやつがあんまりにも遅いからさ−、迎えに来てやったんだよ」 「そりゃ−お優しいことで」 「なんだよガイ、嬉しくないのかよ」 「そうだな。俺としては複雑だな、ものすごく」 「はぁ?なんだよそれ?」 「まぁ良いや。じゃあまたあとでな、」 はうん、と頷いてル−クとともに去っていくガイの後姿を見つめた。またあとで。それはガイからのサインで、夜にまた会おう、という意味だった。 お互い仕事があり、忙しくてゆっくり話が出来ないときにはそうやってふたりの時間を作っていた。今はそれが切ないなんて、言えるはずがない。 「幼馴染の壁って・・・思ってたより苦しいね・・・どうしてだろう」 首に下げているロケットをぎゅっと握り締める。幼いころのガイやティアたちといっしょに撮った写真。今でも、あのころに戻れたならと頑なに願っている。 でも、この思いに気づいてしまった自分にはもう、叶わない。それは分かっている。頭の中では分かっているのに、思いは止められない。 「 ―― ガイ?」 「よ、。お疲れさん」 「ガイこそ、お疲れ。今日もたいへんだったね」 「ああ。それより、昼間はどうしたんだ?なんか元気なかったみたいだけど」 「そんなことないよ?わたし、至って元気だよ」 「そうか?なんかいつもと違って見えたけど・・・?」 気のせいなんじゃない?そう言って笑い飛ばすの横顔を見ていたガイは、そんなはずないだろう、と心の中で呟いた。 ここ数日の元気がないことには気づいていた。仮にも幼馴染だ、気づかないほうがおかしい。こんな時に抱きしめてやりたいと思うのに、出来ない。 「 ―― ごめんな、」 「どうして、ガイが謝るの?」 「俺、に何もしてやれない・・・ほんとうは思い切り抱きしめてやりたいのに・・・俺は、」 「大丈夫、分かってるよ。それに、ガイのその気持ちだけで十分だから」 「・・・無理は、するなよ」 「うん、そのつもり。ありがとう、ガイ」 ふんわりと微笑む。その笑みが引きつっていることに自分でも気づいた。はこっそりとため息を吐いて、ガイの横顔を見る。 「ガイ・・・」 「うん?なんだ?」 「・・・ううん、なんでもない。忘れて」 「・・・?あぁ、分かった」 それが、ガイなりの優しさなのだと、分かっていた。ほんとうは知りたいはずなのに、あえて触れずに。そんな優しさが、大好きだった。 だから、この思いに気づいてしまった。気づいてはいけない、この思いに ―― あなたを好きと言う、その思いに。 甘 い 痛 み に 、 ま だ |